マネージャとのつきあいかた - サンフランシスコではたらくソフトウェアエンジニア


今の会社で 7 人のマネージャと仕事させてもらい、自分もマネージャになったこともある。その経験をふまえてマネージャとのつきあいかたを書いてみる。マネージャは日本的な「上司」と若干ニュアンスが違うので注意。上司というよりは役割の異なる同僚。

目的

マネージャとうまくつきあうことで以下を得るのが目的。

  • 困ったときに助けてもらえる。マネージャ自身のマネージャのちから、マネージャの人脈を借りる
  • プロジェクトの進め方、デザイン等。基本的に好きにやりたい。細かく口を出されない。
  • キャリアプランゴールを共有し助けてもらう

大きな 2 つの方針

  • 初期の段階で信頼関係を築き、以降のつきあいを楽にする
  • バランスのよい情報共有を目指すが over-communication よりにたおす

マネージャの視点

マネージャの視点を意識すると何を伝えるべきかが見えてくる。マネージャがあなたについて知りたいのは

  • プロジェクトは予定通り進んでいるか?
  • 放っておいても大丈夫か?助けが必要か?
  • チームプレイヤーか?
    • チーム・プロジェクトへ貢献できているか?
    • 他のエンジニアの面倒を見ることができるか?
  • あなたは今後どうなりたいのか?

などである。基本的にこれらのポイントをおさえてコミュニケーションすれば大丈夫。


もう1つ重要なポイントは上司と自分は 1:N の関係であるということだ。見落としがちなポイントだが常に意識しておくべき。
1: N の関係なので

  • あなたに使える時間は短い。平均して 1/N
    • 長いメールはきっと読まない
    • あなたが思っているよりもあなたの仕事の内容を把握していない
    • 過去にあなたが言ったことを覚えているとは限らない。前提条件を理解しているか確認してから説明を始めよう
  • 他のエンジニアたちとどうしても比較される/比較しやすい
    • 例)エンジニア A は xx が得意だが yy が苦手なのでフォローが必要。エンジニア C は2週間位なら放っておいても良い

コミュニケーション方法

上記マネージャの視点を意識した上で以下の手段で情報共有をしよう。

  • 1 on 1 (1 on 1 で 何を話すのか?参照)
  • 週報メール
    • 求められていなくても週報を送りつける
    • 読まれる工夫をする
      • 理想的には3-5 行程度でプロジェクトの状態を報告。
      • メールは 1 スクロールに収まるように。
      • モックなどのデザインの画像があると見てもらえる
    • マネージャが「俺は知らなかった!」といった場合に。週報にありますと言えるように。(これは本当に最悪のケース)
  • スタンドアップミーティング
  • できれば1日1回くらい。話しかけよう。

より上の視点

マネージャの視点を意識してコミュニケーションをできるようになったら、もっと上の視点を考えてみよう。

  • マネージャは彼/彼女自身のマネージャにはどういう報告をしているだろうか?
  • マネージャは他のマネージャと比べてどうだろうか?
  • 会社のゴールと自チームのゴールはどういう関係だろうか?
  • マネージャもほめられたい!

マネージャを助ける

信頼関係構築に成功し、余裕ができたらマネージャを助けられないか考えてみよう。
例えばチーム内でうまくいっていないポイントはないだろうか?

  • 誰かのコードレビューが止まってる
  • おとなりのサブプロジェクトがうまくいっていない/うまくいきそうにもない

マネージャのタイプ

マネージャも人間なのでいろいろなタイプがいる。いくつかのタイプとポイントを挙げる。

  • 任せるタイプ
    • その1: 親分タイプ。好きなようにやれ。責任は俺がとる。困ったときは助けてやる。
      • 個人的には一番好きなタイプ。
      • 1 on 1 で信頼関係を築き。週報を送っておけば十分だろう。
      • 「任せる」が負担な場合。きちんと申し出て細かい指示をもらおう。
    • その2: ただ何もしない
      • 情報を積極的に収集してくれるわけではないので週報や 1 on 1 で情報共有。
      • 大きな決断、大事な情報はポイントをおさえて口頭で伝えるようにしよう。メールを見ていない可能性がある。
  • 様子見タイプ
    • 任せるタイプに似ているが実は違う。あなたをどれくらい助けるべきか/時間をかけるべきかを見極めようとしている。できるだけ早期に自分が「放っておいても物事を進めるタイプ」であることを示そう
  • 軍隊タイプ
    • 常にリアルタイムの情報を欲しがり、スピードを重視するタイプ。プロジェクトのあいまいさを出来る限り減らそう。マネージャの質問には即反応を。

だめなマネージャにあたったら?

相性の悪いマネージャ、本当にだめなマネージャにあたったらどうすればいいだろうか?以下 2 つのことを意識しよう。

  • それでも仲良く。相性が悪い、ダメなマネージャだからといっておざなりにしない。もしものときに守ってもらえないかも。
  • 客観的な事実をドキュメント化。もしも「このマネージャは本当にひどい」と思うなら客観的な事実をドキュメントとして残そう。同じチームで同士を見つけてマネージャのマネージャに共有しよう。
    • 例) x 月 x 日に何の連絡もなしに 1 on 1 に現れなかった。y についてヘルプをお願いして何回か ping したが返事がもらえなかった。