デッドエンドの思い出、とかげ - よしもとばななを読んでみた
ふとしたきっかけで、よしもとばななを読んだ。特定の本に出会ったのではない。そろそろ、よしもとばななでも読もうか、そんなスタンス。よしもとばなな - Wikipediaを参考に、著者自身が「今まで書いた自分の作品の中で、一番好き」と公言しているデッドエンドの思い出を手に取った。
結論から言えば自分の全読み作家リストに入った。リストに入る条件は「その作家のどの本を読んでも、少なくとも1つ自分には絶対書けない文章、発想、感性、考え方に出会えると確信できること。」である。
よしもとばななを好きになったのは、人の見方が独特で深いから。身の回りにいる男の子を観察し文章で表現するときも、外側から観察される彼を個性的な視点で自然に描いている。僕自身にはそのような人の見方は備わっていないし、他の作家でそれを感じたこともないから本当に独特なのだろう。僕にはない視点だけど、自然と共感でき、入り込める表現なのがうまい。
完全に当たりをひいたので、続けてとかげを読む。この短編集におさめられた、「新婚さん」という作品を読んで彼女が「女性の目で男性を描くのがうまい」のではなくて、「彼女の目で人を描くのがうまい」ということが良く分かった。新婚の男性が妻をどのように捉えているかという描写が鳥肌ものだった。しばらくは、ばなな漬けの予定。