関数型言語の勉強にSICPを読もう - (32) 3章 - 小休止 beginを利用した print デバッグについて

以前、traceを利用したデバッグ方法を紹介しました。
今日は begin を利用した print デバッグの方法を紹介します。

SICPを1ページ目から順に読んでいくと begin がなかなか出てこないのですが、今日 begin を知りこのデバッグ方法に気づきました。

例えば

(define (a)
  (let ((state 0))
    (define (b)
      (if (some-condition)
          (some-func)
          (else-func)
          )))
 たくさんの処理
)

のような手続きがあるとします。


このときに手続き b の戻り値は (some-func)か、(else-func)なのですが、(some-codition)を実行後に state の値を知りたい場合があると思います。
この場合 (display state)をどこかに挿入すればよさそうなのですが、if の中に隙がなさそうです。

でも begin を使えばこんなことができてしまいます。

(define (a)
  (let ((state 0))
    (define (b)
      (if (some-condition)
          (begin (display state) (some-func))
          (begin (display state) (else-func))
          )))
 たくさんの処理
)

beginは以下のような手続きです。

[R5RS] formを順に評価し、最後の値を返します。
Beginはletのような「ブロック」を作成するわけではありません。 すなわち、一般的にはform …の先頭に「内部のdefine (internal define)」を 置くことはできません。意味的には、beginはまるでform …が beginを囲むコンテクスト中に展開されているかのように振舞います。 例えば、トップレベルに次のような式があった場合、それは2つのトップレベルのdefineと 同等です


このように、値を返す部分であっても begin を使えば print デバッグができちゃいます。これは便利!。


ちなみに良く似た手続きで begin0 というものがありこれを利用すると同じことを

(define (a)
  (let ((state 0))
    (define (b)
      (if (begin0 (some-condition) (display state))
          (some-func)
          (else-func)
          )))
 たくさんの処理
)

と書けます。


もっと良い方法があるよなどご意見大歓迎です。

追記

Gaucheでは debug-printというマクロが用意されていてとてもよさげです。
コメントで教えていただきありがとうございました。


※「SICPを読もう」の目次はこちら


計算機プログラムの構造と解釈
Gerald Jay Sussman Julie Sussman Harold Abelson 和田 英一
ピアソンエデュケーション (2000/02)
売り上げランキング: 56,404